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建設DXの事例10選|設計・施工連携でムダを減らした取り組み
建設DXナレッジ業務フロー

建設DXの事例10選|設計・施工連携でムダを減らした取り組み

建設DXの事例を10選で紹介。図面管理や現場記録のデジタル化から、設計・施工連携で手戻りとムダを減らした取り組み、共通する成功のポイントまでを設計事務所の視点でまとめました。

猪狩理

設備設計士

公開日
更新日

建設DXの事例とは、デジタル技術を使って業務のムダや手戻りを減らした具体的な取り組みのことです。「何から始めればよいか」を考えるとき、先行する事例は格好のヒントになります。ここでは設計・施工連携の視点から、効果の出やすい代表的な取り組みを10タイプに整理し、それぞれの「課題・打ち手・効果」を明らかにしながら紹介します。特定の製品を推すものではなく、自社に置き換えて考えるためのヒント集としてご覧ください。

この記事の要点

  • 事例は「情報の一元化」「記録の自動化」「連携の前倒し」の3つに大別できる
  • 効果が大きいのは、設計と施工の情報をつなぐ取り組み
  • 小さく始めて効果を測り、横展開するのが成功の鍵

事例は3つのタイプに大別できる

具体的な事例を見る前に、大きな斜りとして、建設DXの取り組みは次の3つに分けて考えると整理しやすくなります。「情報の一元化」は図面や資料を一か所に集めて探す手間と版ズレをなくすもの、「記録の自動化」は写真や書類といった作業をアプリで軽くするもの、「連携の前倒し」は設計情報を上流で整理し手戻りを防ぐものです。以下の10事例も、この3つのどれかに位置づけられます。

建設DXの取り組み事例10選

1. 図面のクラウド一元管理

現場と事務所で図面の版が食い違い、古い版で施工して手戻りが起きる——という課題に対し、図面を最新版でクラウド一元管理した事例です。誰が見ても最新版がひと目で分かる状態をつくることで、版ズレによる手戻りを大きく減らせます。(情報の一元化)

2. 現場写真のアプリ撮影・自動整理

写真の選別や黒板との照合、台帳作成に多くの時間がかかる課題に対し、写真をアプリで撮影し、電子黒板や工程・位置情報とひもづけて自動整理した事例です。アプリ上で台帳まで生成されるため、事務所での転記作業が大幅に減ります。(記録の自動化)

3. 連絡のチャット集約

電話・FAX・メールに連絡が分散し、「言った言わない」や連絡漏れが起きる課題に対し、連絡をチャットに集約した事例です。やり取りが記録として残り、関係者が同じ情報をその場で共有できるため、行き違いや見逃しが減ります。(情報の一元化)

4. 検査記録・報告書のテンプレート化

毎回ゼロから書類を作成していた課題に対し、検査記録や報告書をテンプレート化した事例です。入力項目を標準化して使い回すことで、作成時間を圧縮し、記載漏れも防げます。(記録の自動化)

5. 設計変更の共有ルール化

変更が現場に正しく伝わらず、認識違いで手戻りが生じる課題に対し、「いつ・どの版で・誰に」変更を共有するかのルールを決めた事例です。変更の意図もセットで伝えることで、現場での解釈違いを未然に防ぎます。(連携の前倒し)

6. 積算データの再利用

見積作成のたびに類似項目を一から拾っていた課題に対し、過去物件の積算データを再利用できる形で蓄積した事例です。過去の項目や単価を流用できるため、見積作成の時間と拾い漏らしが減ります。(記録の自動化)

7. BIM/CIMによる干渉チェック

ダクト・配管・配線などの納まりが現場で初めて判明し手戻りになる課題に対し、BIM/CIMで設備の干渉を設計段階で検出した事例です。三次元モデルで他工事との取り合いを事前に確認できるため、現場での大きな手戻りを抑えられます。(連携の前倒し)

8. 勤怠・日報のデジタル化

紙の日報や勤怠の集計に手間がかかる課題に対し、勤怠・日報をデジタル化した事例です。入力から集計までをデジタルでつなぐことで、労務管理の負担と転記ミスを軽くします。(記録の自動化)

9. 進捗の可視化

工程の遅れに気づくのが遅くなりがちな課題に対し、関係者で進捗を可視化した事例です。タスクや工程の状況を関係者が同じ画面で見られるため、遅れを早期に把握し、手を打てるようになります。(情報の一元化)

10. フロントローディングによる前倒し連携

后工程で問題が次々に見つかり手戻りが集中する課題に対し、設計と施工の情報を上流で前倒しに検討・共有した事例です。設計段階で論点を潰しておくことで、后工程の手戻りとムダを大きく削減できます。(連携の前倒し)

事例に共通する成功のポイント

うまくいった取り組みに共通するのは、ツール導入を目的にせず、手戻りや作業時間という課題から逆算している点です。効果が出た事例には、次のような共通点が見られます。

  • 課題起点:「ツールを入れる」ではなく、「どの手戻り・ムダを減らすか」から考えている
  • スモールスタート:効果の大きい一点から始め、成果を確かめてから広げている
  • 現場目線:現場の負担が増えない、使い続けられる仕組みになっている
  • 連携重視:単体の便利さだけでなく、設計と施工の情報をつなぐことを意識している

設計事務所の視点|効果が大きいのは「つなぎ目」の事例

10の事例を見ると、写真や書類の「記録の自動化」は始めやすく効果も見えやすい一方で、手戻りそのものを減らす効果が最も大きいのは、設計変更の共有やBIM/CIM、フロントローディングといった「連携の前倒し」の取り組みです。とりわけ設備設計のように他工事との取り合いが多い領域では、上流で情報を整理しておくかどうかが、後工程の手戻り量を大きく左右します。事例を参考にする際は、見た目の派手さよりも、自社の手戻りがどこで生じているかを起点に選ぶと、効果につながります。

自社で始めるための進め方(4ステップ)

  1. 自社の課題を選ぶ:上記の事例から、自社で手戻りやムダが多い領域に近いものを選ぶ
  2. 現状を測る:今の作業時間や手戻りの頻度を、データとしてばんやりでも把握しておく
  3. 小さく試す:1現場・1業務で試験運用し、効果と現場の使い勝手を確かめる
  4. 効果を測って横展開する:前後を比べて成果を確認し、他の現場や業務へ広げる

まとめ

建設DXの事例は、「情報の一元化」「記録の自動化」「連携の前倒し」の3つに大別でき、いずれも「どの手戻り・ムダを減らすか」という課題起点が出発点になっています。中でも効果が大きいのは、設計と施工の情報をつなぐ取り組みです。他社の事例をそのまま真似るのではなく、自社の課題に置き換え、効果の大きい一点から小さく始めて横展開する——それが、手戻りの少ない現場への確実な一歩になります。

パラダイムは、機械設備設計・電気設備設計を企画段階から設計監理まで一貫して手がける立場から、設計・施工連携を軸とした業務改善のご相談に対応しています。自社に合った始め方を検討したい際は、お気軽にお問い合わせください。

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