
BIMのLOD(詳細度)とは|LOD100〜500の違いと設備BIMでの使い分け
BIMのLOD(Level of Development/詳細度)について、LOD100からLOD500までの各レベルの内容を設備BIM目線で解説。BEP(BIM実行計画書)での達成化の決め方、過剰LODによるトラブルと対策、オブジェクトごとのLODの描き分けまでを実務目線で整理します。
BIM関連の打ち合わせで「LOD100」「LOD300」といった言い方が出てきます。「LODとは何か」を押さえておかないと、取引先との会議で「どこまで作り込むのか」の認識がずれ、モデルの手戻りや過剰モデリングにつながります。この記事では、LODの基本とLOD100からLOD500までの各レベルの中身、そして設備設計での使い分けと運用のコツを実務目線で整理します。
LODとは何か
LODはLevel of DevelopmentもしくはLevel of Detailの略で、「BIMモデルの詳細度」を表す指標です。厳密には、Level of Detailが「形状・見た目の詳細さ」を、Level of Developmentが「形状に加えて付与された情報も含めた信頼できる成熟度」を指し、ビジネスでは後者の意味で使われることが多いです。いずれにせよ、モデルのオブジェクトが「どの程度詳細に表現されているか」「どのくらいの情報を含んでいるか」を共通のスケールで示すもので、主にLOD100からLOD500までの五段階(間にLOD350を加えた六段階)が使われます。これにより、発注者・設計者・施工者が「どこまで作り込むか」を同じ言葉で話せるようになります。
LOD100:概念モデル
LOD100は「概念モデル」のレベルで、オブジェクトの位置とサイズがおおよそ表現されている状態です。オブジェクトは実寸ではなくシンボルやボリュームで表現され、面積や概算といった検討のための「見積もりレベル」ともいえます。設備だと、「このあたりに空調機がある」というシンボル状の表現や、ダクトルートの主要線を描いた状態がこれに近いです。企画・基本計画段階で使うレベルです。
LOD200:設計段階モデル
LOD200は、オブジェクトのおおよそのサイズと位置が表現され、主要パラメータ(型番カテゴリー、能力、概寸)が付与されているレベルです。「この空調機は能力28kWクラス」「このダクトはおおむね400×200」というレベルの情報を含みます。実寸に近いが、まだ特定の型番を確定させていない状態で、基本設計から実施設計の初期で使うレベルです。他職種とのボリューム調整や一次的な干渉検討は、このレベルから始められます。
LOD300:実施設計モデル
LOD300は、オブジェクトの形状・サイズ・位置が正確に表現され、詳細パラメータが付与されているレベルです。「このファンコイルユニットは特定メーカーのこの型番」という型番レベルの情報を含みます。実施設計の主要部分で使うレベルで、国内で「BIMで設計する」と言うときはおおむねこのLOD300もしくはLOD350を指します。なお、LOD350は「他要素との取り合い(インターフェイス)まで表現されたレベル」として、干渉検討を重視するプロジェクトで明示されることがあります。
LOD400:製作・施工モデル
LOD400は、製作・施工のための詳細が表現されているレベルです。ダクト・配管のサポート、ケーブルラックのボルト位置、接合や加工の詳細といった、製作図(ファブリケーション図)として使えるレベルまで表現されています。ゼネコンや設備サブコンが施工段階で作成・使用するレベルで、設計者がここまで作ることは通常ありません。
LOD500:アスビルトモデル
LOD500は、「現状と一致した状態(アスビルト)」を表します。竟工後の建物にある設備を、実際に設置された型番・シリアル番号・設置位置とともにモデリングし、FM(ファシリティ・マネジメント)や維持管理・メンテナンスで使えるレベルです。ここまで作るプロジェクトはまだ限られていますが、公共建築やデータセンターなど、長期の運用を見据えた施設で試行されています。なお、近年は詳細度(Detail)と信頼度・情報量を分けて扱う考え方も広まっており、LOD500は「見た目」より「情報の信頼性」が重視されるレベルだと言えます。
LODの達成化を事前に決める(BEP)
プロジェクトで重要なのは、「どの設計ステップで、どのレベルのLODを達成するか」を事前に決めることです。「基本設計でLOD200、実施設計でLOD300」といったスケジュールをBIM実行計画書(BEP:BIM Execution Plan)に明記しておくと、「どこまで作り込んだらいいのか」がチーム全員で共有され、過剰モデリングも表現不足も防げます。あわせて、そのレベルを「誰が責任を持って作るか(モデル著作者)」を明確にしておくことも、后工程の混乱を防ぐ上で重要です。
過剰LODのトラブル
よくある失敗は、「初期設計段階でLOD400レベルまで詳細にモデリングしてしまう」というパターンです。設計がまだフィックスされていない段階で詳細モデルを作り込むと、仕様変更が入るたびに作り直しコストがかかり、かえって生産性を下げてしまいます。逆に、ステップごとにLODを適切に設計しておけば、その段階で必要な検討に集中でき、むしろ生産性が上がります。LODは「高ければ高いほど良い」ものではなく、「その段階に見合った適切なレベル」が最適だという点を押さえておきたいところです。
設備BIMでのLODの描き分け
設備BIMでは、オブジェクトの種類ごとにLODを描き分けることがあります。たとえば「主要設備機器はLOD300、ダクトサポートはLOD200」といった描き分けです。すべてをLOD300にそろえようとすると、モデリングコストがかかりすぎる一方で、実務上はそこまでの詳細が必要ない要素も多いためです。「どのオブジェクトにどのレベルが必要か」を社内やプロジェクトごとに整理しておくと、限られた工数を価値の高い部分に振り向けられます。
まとめ
LODは、BIMモデルの詳細度を共通の言葉で示すための指標です。LOD100からLOD500(とLOD350)までの各レベルを押さえ、どの設計ステップでどのレベルを達成するかをBEPで事前に決めておくことが重要です。さらに、オブジェクトの種類ごとにレベルを描き分け、過剰LODを防ぐことが、モデリングコストを押さえ、限られた工数を効果的に使うコツです。